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第四回ベーカリージャパンカップ
2年に一度のベーカリー・ジャパンカップ決勝戦
「第四回ベーカリー・ジャパンカップ」(全日本製パン技術選手権大会)決勝戦が製パン製菓業界の業界関係者向け総合専門展「MOBAC SHOW」(モバックショウ)の会場にて開催されました。本大会は、2年に一度、日本で唯一の、日本のパン職人たちによる「日本一のパン」を決める競技会です。日頃から、製パン技術を磨いてきた先鋭たちが予選を勝ち抜き日本一をかけて戦います。
傘下にある多くの組合員の方々の協力を得て、開催の運びとなった当日、開会にあたっては、全日本パン協同組合連合会の伊原副会長より開幕の挨拶を、続いて、パン食普及協議会の細貝会長、全日本パン協同組合連合会会長西川よりご来場いただいた皆様にご挨拶を申し上げました。また、本大会の審査委員長である日本パン技術研究所井上所長からは、出場者に対して「現在、持てる力を発揮してください」との激励がありました。
国内産小麦100%で日本一のおいしさを競い合います!
本大会では「国内産小麦食パン」「菓子パン・食事パン」の2部門で日本独自の製パン技術を駆使して、見た目、おいしさ、市場性、独創性などを競い合います。
本大会では、厳正なる1次審査(レシピ・現物)を経て、各部門8名がファイナリストとして参戦。競技は、前日の仕込み1時間と当日の4時間のみでパンの製造だけでなく、ディスプレイから片付けまでをすべて一人でこなします。判定の基準は、「おいしいこと」はもちろんのこと、普段から販売するパンとして価格帯を含めてお客様に喜んでもらえるかどうか、そして、コンセプト通りに自分の作りたいものを正しい製法に沿って再現できているか、などがポイントになります。
食パン部門
様々な地産地消の食材に新たな可能性が生まれました。
食パン部門は、国産小麦に加えて「基本的な食パンと地産地消」、「健康栄養を考えたパン」の2種類を作ること。今回は、地元愛に溢れる食材を使ったヘルシーなパンが続々と登場。地元で取れたお米が原材料の甘酒や、県内で生産が盛んな黒米を使ったお餅のようにしっとりしたパン、狭山茶や黒ごま、日本の国菌である麹の「ホシノ酵母」から作った和テイストの食パンなど、日本を意識した食パンが数多く作られました。
また、リテールベーカリーだけではなく大手外資系ホテルのブーランジェも登場。地味に見える生地作りにも工夫を凝らした華やかな動きもあり、注目を集める場面もありました。それでも仕上がりは8人それぞれ。甲乙付け難い出来栄えで展示されました。
そうした中、今回、優勝を手にしたのは、途中、オーブンにトラブルがあったものの、長年の経験で切り抜けた「ベーカリータカダ」の髙田知明(埼玉)さんです。髙田さんは、パン職人歴30年のベテランで製パン業会の「東京青雲会」に所属。若い人たちの模範になるために今回は、自分自身も挑戦をしたいということでベーカリー・ジャパンカップに応募したそうです。その役割を果たせたということで今回は「大変、安心しています。これで先輩らしいところを見せられました」と話してくれました。満面の笑みで農林水産大臣賞を受け取りました。
食パン部門 受賞者
- 髙田 知明
「ベーカリータカダ」 (埼玉県) - 村東 秀紀
「エストヴィラージュ」 (奈良県) - 大宗 智成
「横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ」(神奈川県)
食パン部門総評
ジャパンカップという名前の大会らしい、日本らしさを表現されたテーマで2つということで、今回は大変だったと思います。ただ、レシピ、製品、皆さまの思いを見て本当に素晴らしかったと思います。順位をつけるのは難しいことだったということは付け加えておきたいと思います。ただその中で優勝した髙田さんは、一番、国内産小麦の多様性を知っていてそれを形にすることができていたと思います。満場一致で決まった1位でした。皆様におかれましてはぜひ、今後とも国内産小麦を使った日本のパンという取り組みを続けていただければと思います。本当にお疲れ様でした。
菓子パン・食事パン部門
菓子パン・食事パン部門のハードルの高さにもめげず!
今回の菓子パン・食事パン部門は、2日間に分けて開催されました。従来とは異なり、菓子パン、食事パンの2部門が一つとなり、(1)日本らしさを表現した菓子パン5種類各8個以上、(2)健康栄養を考えた食事パン5種類の各8個以上が規定。今回は、クリームパンやあんぱんなどの種類の制約がなかったため自由度は高く、その分開発のハードルはあがったといえます。
「独立するためにはこれくらいのことが毎日できていなくてはならない。そのために競技のハードルを上げるのも我々の仕事」とは、全日本パン協同組合連合会の伊原副会長のコメント。厳しくも温かい眼差しで選手たちを見守ります。
新しいテーマで迎えた本大会。日本らしさを表現した菓子パンでは、みたらし団子パンや、金平糖のデニッシュパンなど、これまでにない斬新な商品も登場しました。その中でも、日本の菓子パンといえばあんぱんだと、全種類をあんぱんで勝負する競技者もいました。また食事パンも健康栄養を考えたパンということで、おからのカレーパンや、ちらし寿司コッペ、筑前煮のパンなど、和食を想わせるものが多かったのも特徴的でした。仕込みからすべて一人で行うというハードなスケジュールの中、全員無事に競技を終えることができました。今回の優勝者は、「エントリーしてからの半年間、自分は誰よりも努力したと思うので、優勝する自信はあった」というケーキとパンのお店ソレイユの鈴木俊介(千葉)さんです。ベリーなどの果実を使って春夏秋冬を表現した菓子パンは見た目も味も素晴らしく、すでにお店でも販売が始まっているとのことでした。
菓子パン・食事パン部門 受賞者
- 鈴木 俊介
「ケーキとパンのお店 ソレイユ」(千葉県) - 今川 あゆみ
「濱田家」 (東京都) - 城所 聡
「オールハーツ・カンパニー」 (愛知県)
菓子パン・食事パン部門総評
国内産小麦で全10種類、オリジナルな製品を時間内で作らなくてはならないという非常に厳しいコンテストだったと思います。食パン部門以上に順位をつける難しさがありました。その中でも鈴木さんが1位に選ばれたポイントは、全10種類すべての製品に消費者を魅了する力強い思いを感じたからです。その思いの中で妥協する部分は最低限だということもアピールされていました。他の皆様の商品全80種類も非常に素晴らしく、出来るだけ多く商品化していただければと思います。パンが持っている大きな潜在力を顕在化させてたくさんのお客様を喜ばせていただくことを期待しています。
以上、3日間に渡り行われた第4回ベーカリー・ジャパンカップですが、無事に終了いたしました。
ご参加くださった皆様に心より感謝申し上げます。
- 「第四回ベーカリージャパンカップ」審査委員
- <審査委員長>
- 一般社団法人 日本パン技術研究所 所長・・・井上 好文 氏
- <審査員>
- 日清製粉株式会社 研究開発本部 テクニカルセンター主査・・・金井 幹法 氏
日本製粉株式会社 西部技術センター長・・・山本 託志 氏
日本菓子専門学校 教育局 局長・・・鈴木 信明 氏
東京製菓学校 教育部 パン課 課長・・・中島 進治 氏